パラワン島にある世界遺産の一つ、プエルトプリンセサ地底河川国立公園が今窮地に追い込まれています。
アンダーグラウンドリバーとして有名
アンダーグラウンドリバーは、この国立公園内にあるセント・ポール山地の鍾乳洞内を流れる河川のことを指します。
この国立公園は1999年にユネスコの世界遺産（自然遺産）に登録され、2011年にはアルゼンチンのイグアスの滝などと並び「新・世界七不思議 （自然版）」にも選ばれている世界的に珍しい場所でもあります。
そしてパラワン島に来る旅行者にとっては外せない観光スポットになっており、その人気と自然保護の観点から毎日の入場制限も設けられ、入場には基本的に事前の許可証が必要な場所でもあります。
コロナで観光客大幅減
今年2020年の3月15日までは例年通り多くの観光客がここを訪れていました。
3月15日から何が起こったかというと、コロナ感染拡大防止の為のフィリピンのロックダウンです。
このブログでも書きましたが、マニラ空港などが突然閉鎖となったり、多くの混乱を生みました。そこから現在に至るまで、フィリピン国内のコロナ感染者数は増え続けており、ここパラワン島にあるアンダーグラウンドリバーも事実上閉鎖となっています。
財政難
フィリピンは現在でも観光目的での外国人の入国は認められていません。ロックダウンが始まった3月15日までにこのアンダーグランドリバーを訪れた観光客は約6万人、もちろんそこから増えてはおらず、2019年全体の約33万人と比べると、たったの18%です。そして今年それが増加する見込みはほぼありません。
今月の9月から年末までに必要な資金は最低でも5,000万ペソ（約1.2億円）ですが、観光客がだれもいない今、それを捻出するのは難しくなっています。
人員削減
国立公園の運営機関は、先日行われたインタービューで、この財政難によりそこで働くスタッフのリストラがもう間近に迫っていると言っています。そしてこれは直接そこに雇われている人に限ったことでなく、近辺の小さな商売を行っている人にも大きな影響を与えています。
秘境
この国立公園とアンダーグランドリバーは、パラワン島がフィリピン最後の秘境と呼ばれる理由の一つです。
私も最初は観光客として、その後は仕事として何度も訪れましたが、不思議な事に1回目より2回目、2回目より3回目と、行けば行くほどその素晴らしさをより感じていました。
長い年月が作り上げた自然の神秘的な空間の中に自分の身を置くのは、言葉では言い表すことの出来ない何かを五感で感じることが出来ます。
そしてそれはその日の天候や時間によって別の顔を見せてくれる、それがきっと何度訪れても感動する理由なのでしょう。
海と田舎の風景
国立公園は海岸と隣接しています。実際、アンダーグラウンドリバーツアーの場合、海からボートに乗って、そのアンダーグラウンドリバーの入口のビーチで降ります。
ボートが行き来きする為、遊泳禁止ですが、初めて行った時に知らずにその海をビーチから沖まで泳いだことがあります。私は海ガメが好きなのですが、その時多くのウミガメに出会って嬉しかったことを覚えています。
国立公園の脇にはビーチに面した大きなリゾートホテルがありますが、そのビーチをもう少し進むとバックパッカー用の安宿が少しだけあります。
私は泊まったのはそのシャワーもエアコンもないベッドに蚊帳の付いた1泊500ペソの宿の一つでしたが、目の前に見える海は同じです。
そしてその夜見上げた夜空は満天の星空でした。当時、電気は確か夜の11時までしか使えなかったので、その小さな集落全体が真っ暗だったのも星がより輝いて見えた理由かもしれません。
最後に
アンダーグラウンドリバーで観光客を見ることが出来ないのは寂しいですが今は仕方がないと思います。ただいつかまた以前のように世界中から来る旅行者の方達が楽しんでもらえる日がはやく来て欲しいと願うのみです。
財政難は心配ですが、アンダーグラウンドリバーはパラワン島民の誇りであり、シンボルでもあるので、きっとしっかり管理してくれるでしょう。
自然にとってはこれが束の間の休息になり、再開の日が来たら、また元気にあの素晴らしい光景を多くの人に見せてくれるでしょう。
先月のパラワン島を撮影した動画です。時間がある方はぜひ見てみてください。
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