フィリピン最後の楽園パラワン島 日常編

日本と全然違う!そんなパラワン島での暮らし / 2017年~現在

【追悼】ナース死亡・犯行はNPA(声明なし)/ パラワン島

 

8月1日の午後3時~5時にかけて、ドライバー1人とナース、その他医療関係者2人の合計4人が乗った救急車が、武装した何者かに襲撃され、ナース1名(51歳)が亡くなるという痛ましい事件が起きた。

 

救急車はプエルトプリンセサからロハスという場所へ移動中で、緊急走行中ではなく、通常走行をしていたそう。

 

犯行声明は出されていないが、警察を含む関係各所はNPAの犯行とほぼ断定している。はっきりとはまだ分からないが救急車を警察車両と間違えた可能性も報道されている。

 

NPAはNew People’s Armyの略で政府を敵視するフィリピン共産党 (CPP) の軍事組織で、テロ組織として指定されている。

 

フィリピン全土に展開していると言われているが、パラワン島以外のことはあまり知らないので分からないが、ここでNPAを知らないフィリピン人はほとんどいない。

 

テロ組織というとイスラム過激派が思い浮かぶが、NPAがらみの事件は年に数回起きている。

 

今回の事件と同様にいつものパターンは、山道で待ち伏せし、標的が来たら襲撃する。そしてその標的は政府や警察、軍関係で、通常一般市民に危害を加えることは無いというのが私の知る限り一般の共通認識である。

 

なので一般市民はNPAを特別恐れることはなく、また今回のように山道の道路(国道)を避けるということもしない。外国人も標的になることはない。

 

数年前に私が、知人から中古の元警察車両を借りてパラワン島の北部へ行こうとした時に、他のフィリピン人から危ないので止めた方がいいと言われたことがある。確実に一般車両ではない場合に万が一が起きることがあるのである。

 

観光客を乗せたハイエースなどのバンは、観光課が毎年発行しているステッカーを貼ることが義務付けられているが、この辺りでバンが走っている場合は90%以上の確率でツアー関係で、コロナ渦前は昼夜問わずたくさんの数が走っているが、NPAがらみの事件に巻き込まれたことは聞いたことがない。標的はあくまで別なのである。

 

私の知人が市役所の契約社員で、地方の、年金もなく生活している貧困層の高齢者に直接現金を支給するという政府の仕事のドライバーをしているが、時に数ミリオンのお金を普通のカバンに入れ、車に運んで長い時は片道7時間の移動を、多い時で月に2、3回行う。

 

このケースだと、NPAの標的になるかどうかは微妙である。北も南も、通るルートは山道を含む国道以外の選択肢はないのだが、実際には一切の護衛なしで行われている。

 

私は心配なので、最低でも警備を付けるべきだと思うのだが、その辺りの線引きは私には分からない。

 

ただ今回の被害者は医療関係者である。NPA以外に検討をつける組織がないし、物を盗られている事実もないので消去法とその他負傷した3人の目撃情報からNPAということになるのだろう。

 

医療の最前線で働く人が犠牲になった悲しいニュースで衝撃が大きいが、警察車両と間違えようがそうでなかろうが、報道にある通り本当にNPAの犯行だとしたら、人々が彼らを見る目が変わるだろう。標的が誰なら良くて、誰なら悪いとか言う意味ではないし、そういった行為自体が許される訳ではないが、今回はなにか超えてはならない一線だったように思える。

 

 

 

 

 

 

May he Rest In Peace.