日本の大手医療介護人材派遣会社「ニチイ学館」が行ったとされる同社の大勢のフィリピン人女性契約社員達に対する雇い止め。
3月初旬からニュースになっており続報が出る度に気になって読んでいたが今回はその全容が分かったのでそれを紹介。
ニチイは2018年2月に東京を中心とした国家戦略特区での家事支援事業に参入し、2020年3月末には695人のフィリピン人女性の受け入れを行ったが、今年契約更新したのは489人。残りの206人は契約更新に至らなかった。
自己都合の退職も含まれるらしいが、報道を見る限りでは「自己都合」を選択せざるを得なかったケースもありそうで、要するに事業が思ったようにいかなかったので契約更新をしない雇い止めだと思われる。
契約更新出来なかった206人の内98人はフィリピンへ帰国、残り108人の内の48人の所在が分かっていないらしい。
来日したフィリピン人48人が所在不明というのは結構な問題ではあるが、ニチイがフィリピン人達にやったヒドイことも明らかになっている
その一つはフィリピン人女性たちが住む従業員寮約20カ所を抜き打ちで一斉調査したことである。
この抜打ちチェックでは同社社員が2人1組で寮を回り、同意のなく持ち物チェックしたり室内の写真を撮ったりしていたらしい。
中には下着姿の人もいる中でスマホをチェックしたりとプライバシーの侵害どころかセクハラ、人権侵害にもなりうるガサツな調査方法。
ちょっとフィリピン人をなめているのではないかと思う内容だが、その目的の一つは契約更新時に在宅態度が悪いということを指摘し、評価を下げて契約打ち切りにしたいというニチイ側の思惑があっと言われている。
ちなみに2020年8月には家事代行事業の黒字化うんぬんの内部文書に「雇い止め」という言葉も入っていたことが発覚している。
他にも日本語などの社内試験の実施回数を多くして合格基準に満たないフィリピン人の名前を張り出し追試をさせ、それでもダメな場合は契約更新しないというケースもあったよう。
勢いよくフィリピン人を大量に受け入れたものの予想に反して需要を掘り起こせず、伸び悩む事業となってしまい、人員削減の対象をそのままそのフィリピン人達にしているように見える。
フィリピン女性達からすると母国で数ヵ月間もかけてハウスキーパーの国家資格を取り、その後も日本で働くために1年以上も日本語の面接や料理の訓練を行い、いざ日本に来たら仕事もあまりなく、予定していたよりも短い期間で突然解雇を言い渡されるという最初から知っていたら応募すらしない内容である。
ちなみに日本の指針には、このような形で来日したケースの場合、本人が在留を希望する場合に雇用主は新たな受け入れ先の確保に努めるという規定があるそうだが、ニチイに関してはそのようなことはしていなかったと報道されている。
こんな風にして日本に働きにくるフィリピン人のほぼ100%は家族への仕送り目的である。
その為に家族と離れる決意をし、長い期間準備をして来日するのにこの扱いはちょっとヒドイものがある。
この辺の日本の外国人労働者の受入れは詳しくはないが、フィリピンにおけるその業界の人から日本人が絡む人材紹介会社などかなりヒドイという噂を実際に聞くことも多い。
実際に目撃した訳でもないし全部がそうではないと思うが、私が感じるだけでなくこの関係の業界の印象は世間的には悪いだろう。
単にお金目的で摂取しているのか、それともまじめにやっても薄利な構造なのか…
それはともかく今回のニチイの問題、あんな名の知れた大きな企業がこんな陰湿なことをコソコソしてたなんてガッカリだし、フィリピン人の気持ちを思うと同情してしまう。
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