フィリピン最後の楽園パラワン島 日常編

日本と全然違う!そんなパラワン島での暮らし / 2017年~現在

【崩れたバランス】ぼったくりの境界線。ドライバーにも生活がある/ パラワン島

 

三輪タクシー「トライシクル」

フィリピンのタクシーと言えば常にぼったくりと隣り合わせ。普通に移動したいだけなのに神経を使うので気が休まらない経験をした人は多いはず。

 

ここパラワン島ではタクシーで移動するのは観光客だけで台数も一番多い時で40台も無かったと思われる。

 

もともと1日1台くらいしか見かけなかったのにコロナ禍になってからは1台も見かけていない(どこに行ったのだろう…)

 

普通のタクシーの代わりにこの島の地元の人達の近距離をメインにした移動はトライシクルと呼ばれるバイクにサイドカーが付いたこの乗り物。

 

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これ

三輪タクシーとかバイクタクシーみたいな感じ。

 

しかし日本にはないので乗り方から運賃から意味不明な乗り物だが、地元の人にとっては生活の足。慣れてくれば運賃の相場とかいろいろ分かってくるし、小回りが利くので便利。

 

palawan.hatenablog.com

 

 

優しいドライバー

ちなみにフィリピンでタクシーやトライシクルといった乗り物のドライバーにはぼったくりのせいで常にネガティブなイメージがついている

 

しかし全員がそうではないということは余計な誤解を生まないように念のため言っておこう。

 

実際に目撃した出来事は私が乗っていたトライシクルに相乗りで片足の無いハンディキャップをもったおばあさんが乗って来た。

 

目的地までの方向が同じであれば相乗りは普通なのだが、そのおばあさんの目的地に先に着いた時にドライバーは運賃を受け取らなかった。

 

「いいよおばあちゃん、それより暑いから気をつけて!」

 

そう言っておばあちゃんが差出した運賃を受け取ることなく私を乗せて走り去ったのだ。

 

バリアフリーなど一切ないに等しいこの島では身体に不自由のある人の生活は想像以上に大変なはず

 

ドライバーももちろんそんなことは承知なので運賃が浮くことで少しでもおばあさんの生活の助けになればと思ったのだろう。

 

また私自身もバイクで辺鄙な場所に行っていた時にガス欠で困っていた時があったが、たまたま通りかかったトライシクルのおっちゃんにガソリンを分けてもらったことがある。

 

ガソリン代と助けてもらったお礼にいくらか差出したが「いいよ別に!気にすんな!」と言ってブーンと走り去っていった。

 

現在は乗客が激減

日本のタクシー業界も大変だとは思うがここパラワン島のトライシクルドライバーも大変。

 

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パラワン島にある世界遺産アンダーグラウンドリバー

主な理由は3つあって、一つ目は観光客がいなくなったこと。もともとタクシーは電話して呼ぶものなので流しのタクシーがないパラワン島では観光客のちょっとした移動もトライシクルを使っていた。

 

いいか悪いかは別にして相場を知っている地元の人と違い、観光客はちょっとだけ高い運賃でも普通に払ってくれるのでドライバーとしてはありがたい乗客だったのだがそれが消えてしまった。

 

そして2つ目はメイン道路での走行が禁止されてしまったこと。

 

これは実はコロナ禍の直前に渋滞防止などの観点から新しく規制されたのだが、トライシクルは通行量の多い主な道路で走行禁止となり脇道や裏道しか走れなくなってしまったのである。

 

そして3つ目は学校がやっていないということ。

 

学校があると朝の登校でトライシクルを使うし、フィリピンは給食がないので昼間も家に帰ってご飯を食べたりする為の移動や、夕方の学校帰りにもまたトライシクルを使う。

 

そんな確実な収入源となる学生が学校がもう1年もやっていないのでいなくなったという事情がある。

 

しわ寄せは普通の乗客に

以前は初乗り10ペソ(20円)だったのが今は20ペソ(40円)になっている。日本の感覚だと10円20円なんてどうでもいいかもしれないが、日給の最低賃金がが300ペソ前後(600円)のこの島では走る距離によっては1日の稼ぎの数十パーセントが運賃に消えてしまうことになってしまう

 

実際ちょっと遠くまでいくと80ペソくらいはドライバーから請求される。

 

この80ペソは実は定められた運賃を超えているのだが、ドライバーとしては先程の事情もあって普通の運賃でやっているとガソリン代も高騰しているので収入が足りないのである。

 

またちょっと奥まった場所が目的地だと、そのお客さんを降ろした後に乗客を見つけることがしばらく出来なくなるという事情もある。

 

しかし乗客の立場からすると当然80ペソ(160円)は高い!となる。

 

そんなこんなで一般市民から苦情が多くなり、今後は初乗り料金を現在の20ペソから以前の10ペソに戻すという条例案が今出ている。

 

そうなると今度はトライシクルドライバーは困る。困るとなにが起こるかというと正規の運賃以上を請求せざるを得なくなる。

 

そうすると地元の人からはぼったくりと言われてしまうのだ。

 

難しい現状

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2月24日時点でのフィリピンのコロナ感染状況

コロナパンデミックで崩れたバランスをとり直すのは難しく、こんなところにも影響が出ている。

 

そろそろ現状を踏まえた新しい運賃を設定して、メイン道路の通行を許可しないとドライバーはやっていけないかもしれない。

 

さらに理想はぼったくりと言われないように今の運賃交渉制から車体にメーター設置を義務付けて100%メーター料金にできればいい。

 

ただこの場合はメーター設置が自己負担だとその費用を負担できないドライバーが多く出てきてしまうのでこれは補助が出ないと無理だろう。

 

今までは「何となく大丈夫」だった様々なことも、現在はその綻びが出始めた感じのするフィリピン。

 

来月でロックダウン開始から1年

 

 

 

 

 

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