後ろからクラクションが連発して聞こえてくる。場所は公共市場の近くの片側一車線の狭いデコボコ道。夕方で混む時間。
どんどんその音が大きくなりその距離は後方およそ5m。振り返ると数台のバイクに先導された白と黒の2台のトヨタのSUV。
全ての窓には真っ黒なスモークフィルムが貼られているので中の様子はうかがい知れないが、道路交通法無視で庶民たちを蹴散らしながら走る集団と言えば市長の乗った車しかいない。
ちなみに大統領クラスが来るときは交通規制が敷かれるので突然大渋滞してすぐ分かる。
このまま気付かないフリをして彼らの前方を走り続けようか一瞬考える。もしそうしたらどうなるのだろうか。なんの権力もない私なんか下手したらそのままオカマをほられて道路脇に弾け飛ばされるかもしれない…汗
連なる2台の前方は白のSUV、その後に黒のSUVが続く。市長が乗っているのは後方の黒い方らしい。この軍団には昔一度ハイウェイで轢かれそうになったのでよく覚えている。
確かあれは夜11時ごろ、その日最後の仕事を終えて空港からバイクに乗ってピヨピヨ走って帰っていた途中。私が赤信号の交差点で停まって待っていたらサイドミラ―に後ろから猛スピードで近づいてくる一団…。
まさかこのまま信号無視して交差点を突っ切るのか…そんな予感がしたのでソロソロと横にバイクを寄せようとしたら、その一団はさらにスピードを上げていてすぐ私の後ろに。
横に移動しようと動き出していた私と、その脇をすり抜けようとする一団。
私とその一団、そして野良犬しかいないハイウェイの赤信号の交差点でものすごいクラクションを鳴らされ危うく接触するほどの距離で一団はすり抜けて行った。
ちなみに交通量が激減する夜中から早朝にかけては信号無視をするのが暗黙の了解的な感じになっているフィリピンのパラワン島。なので青信号だと思って交差点に進入すると酔っぱらったロケット砲のようなバイクや車が横から突っ込んでくるので注意しなければならない。
彼らドライバーの脳にはオリジナルのCPUが搭載されており、「夜中=交差点には誰もいない」という計算結果を導き出すので油断すると大変な目にあってしまう。
これが交通量のほとんどない夜の見通しの良い道路で大事故が頻発するフィリピンの秘密の一つなのだが、市長の乗った車も時間は23時と早めだったがそのお手本のように走っていた。
昼間は昼間で野良犬を始め牛や馬などの動物から、バイクにトライシクル、モルティキャブ、ジプニー、それに一般の乗用車、そして今にもタイヤが脱輪しそうなデカいトラックがそれぞれのマイルールで走っているので気が抜けない。
歩行者も当たり屋のようなタイミングで道路を横断しようとするので運転には十分注意しなければならない。私調べでは時速50kmを超えて走ると事故の可能性が各段にあがる。
50km以下でちゃんと車間距離を取って走っていれば、わき道からバイクや野良犬が飛び出してきたとしても、正面から救急車が逆走してきても、大きな街路樹の枝が突然折れても、道路が陥没していてもちゃんと対処できる。
安全運転はフィリピンで長生きする上での基本中の基本。市長を乗せた一団を見てそんなことを改めて思った今日この頃。
※このブログはブログランキングに登録中です。下の「Thank You」クリックがブログ執筆のモチベーションになるのでぜひ応援宜しくお願いします!