このブログはフィリピンのパラワン島よりお届けしています。
経済状況悪化と13ヵ月目の給料
フィリピンでは毎年12月に通常の給料とは別に1ヵ月分の給料に相当する金額を従業員に支給する慣習がある。
慣習というより法律で決められているので義務なのだが、コロナパンデミックで世界最長のロックダウンを行っているフィリピンの経済状況はかなり深刻なので、今年その支給をどうするのかという議論が巻き起こっている。
日本だとボーナス(賞与)にあたるこの13ヵ月目の給料は、通常は12月25日までに支給することが定められているのでクリスマスボーナスと呼ばれたりすることもあるが、フィリピンだと正確には福利厚生と同じで企業から従業員への手当の部類に入る。
コロナ渦で例外を認めるか
日本の場合、ボーナスが就業規則などに記載されていない場合は企業の業績や経営陣の判断によって支給しないということも出来るみたいだが、フィリピンではそれは難しい。
なのでこの13ヵ月目の給料の支給を行わない場合は法律を変えるしか選択肢はない。ただもちろん反対意見が多数となる。
妥協案
今議論されている法改正の妥協案は12月25日の期限を超えて、支給を翌月や来年に延期して行えるようにするという延期案。
もちろんコロナパンデミックによって多くの企業が過去にないダメージを受けているので支給しないという案もあるが、世論を考えるとあまり現実的ではない。
なのでとりあえず先延ばしにして各企業の経営努力で何とかしてもらうという内容になっている。
もしかしたら13ヵ月目の給料を支給出来るように政府が経営状態が悪化している企業へのサポートもしくは超低金利かつ長期間のローンを提供するということになる可能性もあるかもしれないが、約2ヶ月後に迫る支給期限に全ての段取りや手続きを行えるようにするには時間的に厳しいと思われる。
フィリピン人にとっての13ヵ月目の給与
フィリピン人にとって12月に支給されるこの給与はとても大事で、その主な理由の一つは盛大に祝うクリスマスの為の予算となるからである。
フィリピンのクリスマスは基本的に家族と過ごすのが慣習で、その為に田舎へ帰省する為の交通費やありとあらゆる場所で開かれるクリスマスパーティの飾りや食事代、プレゼント交換などの費用の源泉となるのが13ヵ月目の給料なのである。
カトリック教徒が大多数を占めるフィリピンで1年で最も重要で楽しみにしている行事がクリスマス。その証拠になるのかは分からないが、9月(September)から12月(December)はBer monthsを呼ばれるクリスマスシーズンであり、10月の現在は既にそのシーズン中なのである。
おわりに
この13ヵ月目の給料は企業が従業員を雇用している場合は規模に関わらず適用されるので、企業と言うより商店と言った方がしっくりくるような町の小さなビジネスを営むところにもこの問題は影響する。
既に長期間のロックダウンで、様々なことに対して我慢を強いられてストレスの溜まっているフィリピン人にとって、一番楽しみで重要なクリスマスまでもコロナによる影響を受け、普通であれば支給されるはずのお金に関してもどうなるか分からないということは大きな不安であり、そしてそれは不満に変わっていく。
なので経済状況うんぬんという理由で支給の延期とは言ってもすんなり受け入れるというシナリオにはならないと思われる。それに彼らは一部の富裕層であり自分の雇用主でもある人々の普段の贅沢な生活を横目で見ているので、売り上げが落ちたというだけではなかなか素直に納得できないだろう。
フィリピンの大統領の権限については詳しく分からないが、もしかしたらドゥテルテ大統領の鶴の一声が出て状況が一変することもあるかもしれない。
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