やっと最終話…
え!?
なんの?
例のオムライスの話です。。
【第一話】オムライスがフィリピン人にウケている?そんなニュースを見て思い付きでここフィリピンのパラワン島のその辺の路上でオムライスの屋台販売を始めた私。試食会で出会った見知らぬおばさん1号を伴って島一番のコールセンターの前に屋台をドンと構えた。続きを読む…
【第二話】すったもんだありながらも城を手に入れたオムライス団。しかし勝手に息子や親戚の赤ちゃんを連れてくる1号。そして3日目には見知らぬおばさんが屋台に登場。続きを読む…
【第三話】1号の代わりに現れた2号。またしても知らないおばちゃんと謎のタッグを組みことになってしまった私。続きを読む…
新人2号に僅かな希望を抱いているものの、実際はもう諦めている節がありあり。。しかしそれを自分で認めたくない。
とにかく2号が頑張ってくれているであろう屋台に向かう。営業開始時間は夕方の5時からのはずだ。
とりあえず屋台から100mくらい離れた場所に身を隠し観察する。
マウンテン出身なのでアフリカ的な感じのアレで視力が半端なくいいかもしれないので最新の注意を払う。
すでに時計の針は夕方の5時を回っている。しかし屋台はまだ出ておらず人影もない。
まぁ遅刻はフィリピンなので仕方がない。とりあえずこのまま監視を続ける予定だがフィリピンの日差しは夕暮れ前でもキツイ…
少し先の小洒落た小さなレストランの軒先のテーブルに腰かけて店員にビールを注文。
さすがにこの時間から飲んでいる人はいないが、ここ数日の出来事は飲まなければやってられないので心を落ち着かせる
レストランの店内には他の客の姿はない。ゆっくりビールを見ながら辺りを見渡す。
目の前は排気ガスまみれの道路…ボロボロの車やバイク、トライシクルが黒煙を上げて走り、帰宅ラッシュ前で少し渋滞気味だ。
道路の向かいには私のオムライス屋台よりもっと小さい屋台がいくつか並んで、バーベキュー串やら変な色のジュースやらを売っている。
この洒落たカフェより地元のフィリピン人にとってはあっちの方が親しみがあるし値段も全然安いからちょっとした人だかりが出来ている。
そこだけ切り取ればまさに東南アジアといった雰囲気だ。
行き交う人々を眺めながら飲んでいたらいい気分になってきたのでもう1本ビールを追加。どうせ2号はしばらく来ない。
こんな時はアルコール度数7%のレッドボース。ちょっと腹も減ったがオムライスが売れ残ったらそれが晩飯になるので我慢しなければならない
しばらくして時計を見ると既に6時。
イスから腰を上げて100m先の屋台を再度確認するもまだ来ていない。これは2時間コースか…
そう思っていたら2号らしき人物が現れた。
しかしよく考えると2号とは昨日が初対面なのでよく顔を覚えていないし、ここから遠いし、それにフィリピン人のおばさんはだいたいどれも同じに見えてしまう…汗
あれは2号なのか…汗
しかしあんな金物屋の前でゴソゴソしているのは2号しかいないはず。もし2号じゃなければ屋台泥棒だ
2号は屋台をセットし終わった後しばらくすると白いパイプイスに座ってじっとお客さんを待っている。
まるで寝てるみたいだ…
ビール代の支払いを終え少し近づいてみるが目は開いているように見える。ただ目を開けたまま寝るというジャングルで身に付けた身を守るアレなテクニックの可能性もある…
そうこうしているとヨレヨレのタンクトップを来た男が屋台に近づいてきた。
お客さんか?
いや…
あれ?
2号の肩に腕を回して…
い、イチャイチャ?
しかも屋台の陰に隠れて濃厚…
だ、ダンナか?
いやダンナでも何でも構わないが監視するコッチの気持ちを考えてもらいたい…
さっき飲んだレッドホースが逆流しそうだ…
近づいて声をかける。
私「どう調子は?」
2号「お客さんこない…」
…そりゃそうだ。。
2号「私明日マウンテンに帰るヨ」
私「!?」
どうやら2号はその男と一緒に上京してきて1号の家に居候しているらしいがどうやらその彼氏と1号の仲を勘繰っているらしい…
さっきはイチャイチャしていたのではなく彼氏が2号をなだめていたようだ
1号と2号、そして知らない男の三角関係にまったく興味がないがここで2号の離脱が確定。
なんでもいいが、どうか3号だけは招集しないように念を押す。
もう面倒なので給料を渡して彼氏と一緒にそのまま帰ってもらった。
それにしてもやっぱりあまり知らないフィリピン人と絡むと余計な心労が増える…もう一人でやるのが一番いい。
そうして2週間くらい自分でオムライスをそこそこ売っていたが、金物屋の親父には来月の更新はしないと告げる。
急にお願いして急に去っていくことになるが、フィリピン人はあまり気にしない。ただ日本人としては何だかお騒がせした感じがして申し訳ないので屋台をあげることにした。
そもそも持って帰っても置き場所に困る…
喜ぶ親父をよそに私はまったく達成感のない脱力した気持ちになっていた。
やっぱり中途半端ことをしてもダメだ。本業に集中しよう。
こうして約1ヵ月のオムライスの路上販売はあっさりと終わった。
今は笑い話としてパラワン島に旅行に来てくれた日本人限定で金物屋の前を通る時の話のネタとなっている。
あんなところでオムライスを売っていたなんて日本人からするとインパクト抜群なエピソードなので、あの一ヵ月は無駄じゃなかったのかもしれない…(たぶん…汗)
ちなみにしばらくはオムライスがトラウマになりました。
おわり
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