フィリピン最後の楽園パラワン島 日常編

日本と全然違う!そんなパラワン島での暮らし / 2017年~現在

【所持金2,000円】60歳のおじいちゃんの徒歩260kmの結末 / パラワン島

f:id:palawan:20201128192354p:plain

フィリピンパラワン島エルニド

 

今回はここフィリピンのパラワン島で起こった最近の物語を紹介。主な登場人物は60歳のフィリピン人おじいちゃんと彼を助けたサマリア人女性。

 

所持金は2,000円

約25年前に奥さんを失くし孤独に耐えきれずに住んでいたフィリピン首都圏近くの家を出たおじいちゃんは各地を転々としながら流れ着くように2006年にあの有名なエルニドへ。

 

エルニドでは観光客を相手にアクセサリーを売り歩いてなんとか暮らしていたのだが、コロナパンデミックによって観光客がいなくなり、所持金はとうとう残り2,000円になってしまった。

 

ロックダウン

この話を先に続ける前にちょっとフィリピンのコロナ渦について先に簡単に説明すると、今年2020年の3月半ばから現在までフィリピンは世界最長のロックダウン中で最近になっていくつかの観光地は部分的に再開しているものの、コロナ渦以前の状況とは程遠い状態で、エルニドも実質観光客はほぼゼロ。

 

お店はシャッターが目立ち、国内の失業率は40%とも言われている。ただフィリピンの田舎は親戚を含めた大家族で生活していることもあり、多くの人はなんとか生計を立てて暮らしてる状態。

 

しかしこのおじいちゃんのように60歳で独り身の場合は取り巻く状況はもっと厳しくなる。

 

活路を求めて州都へ

所持金が2,000円を切ったおじいちゃんはフェイスシールドを売ってお金を稼ぐことを決意し、人の多いパラワン島の州都プエルトプリンセサへ行くことを決意。

 

f:id:palawan:20201128192946p:plain

プエルトプリンセサにある世界遺産アンダーグラウンドリバー入口

 

エルニドから州都プエルトプリンセサは車で約6時間、260kmの距離。エルニドからの運賃はバスやシャトルバンで約1,000円弱。

 

そうして所持金の約半分を使って到着したのが11月20日。おじいちゃんにとっては初めての州都である。

 

エルニドと比べて人は多いが、計画はすぐに失敗に終わる。なぜならまずフェイスシールドを売っているお店はたくさんあり、さらに数ケ月前であれば1個200円で販売されていたものが、今では1個20円まで値下がりしているからである。

 

そんな状態で道端でフェイスシールドが売れる訳もなくおじいちゃんは途方に暮れた。

 

1日コーヒー一杯

いくらフィリピンでも1,000円だけでは数日の食事代で消えていく、もちろん宿泊費を捻出することも出来ないので、路上生活となり、1日1食から最終的に1日一杯のコーヒーしか買えなくなってしまった。

 

その時点で州都について約一週間が経っていた。そしてとうとう所持金もゼロになりエルニドに戻ることを決意したおじいちゃん。

 

力尽きる寸前に

そうは言ってもお金がなくては公共交通機関にも乗ることはできない。国道沿いでエルニドへ向かうシャトルバンに乗せてもらおうと試みるも失敗。

 

いくらフィリピンでもヨレヨレのリュックサックだけを持って路上で手を挙げて運賃の払えないおじいちゃんを載せてくれる運転手はそうはいない。

 

ましてやだんだん治安が悪くなっているので皆多少なりとも見知らぬ人に対する警戒心が強くなっているのもその理由の一つ。

 

しかしおじいちゃんはエルニド以外に行く宛てはない。そんなことを考えながら260kmの道のりを歩き始めた。

 

本来エルニドまではほぼ一本道なのだが、初めて来た場所で方向感覚もスマホも持っていないおじいちゃんは道で立ち往生。そして空腹、体力の限界が近づいてきた。

 

出会い

エルニドの方向を聞く為にたまたま通りかかった女性に道を尋ねたおじいちゃん。この女性がもう一人の登場人物であるプエルトプリンセサに長年住むサマリア人。

 

その女性はすぐにおじいちゃんの異変に気が付く。なんか様子が変だと。

 

そしてなぜエルニドへ向かっているのかなどの事情を聞いて驚いた。確かにここに住んでいる人であれば歩いてエルニドへ行こうとするなんて考えないし、ましてや60歳というシニアで、所持金がゼロということを考えれば途中で野垂れ死にしてしまう。

 

もう弱っているおじいちゃんとその事情を不憫に思った女性はまず近くの食堂へおじいちゃんを連れて行きご飯を食べさせてあげたのである。

 

f:id:palawan:20201128193539j:plain

実際の写真

 

親切

しばらくぶりのまともな食事をしたおじいちゃんを自宅へ連れて行き保護することに決めた女性。

 

のちにこの話が地元ニュースになるのだが、その時におじいちゃんはインタビューアーに泣きながらそれまでの不遇な話と女性への感謝を気持ちを話したそう。

 

女性とその家族のおかげで一時的に屋根のある場所で過ごせるようになったのだが、話はまだ終わっていない。

 

というのも所持金がゼロであればエルニドへ行っても生活は難しいし、かといって助けた親切な女性も裕福な家でもなく、ごく一般的な生活でお金を出す余裕はない。

 

日本と違い、この島の大多数の一般的な家庭であれば毎日1,000円以下で暮らしている。なのでおじいちゃんへのお餞別として1万円を渡すという気持ちはあってもそのお金はないし、あっても渡してしまうと自分たちの生活がままならなくなる。

 

兄弟を頼る

おじいちゃんの今後のことを考えると誰か一緒に暮らして世話をしてくれる人が必要だと考えた女性はおじいちゃんの兄弟を探すことに。

 

フィリピンはフェイスブック大国なので上手に利用すると人探しまで出来る。よく浮気がバレているフィリピン人が多くいるが、奥さんがフェイスブックで浮気相手を見つけて発覚するパターンも多い。

 

そんなこんなで今、女性は名前を頼りにフェイスブックで兄弟を探している最中。おじいちゃんの話も投稿し、それは1日足らずで900回以上シェアされている。

 

最後に

この話を紹介しようと思ったのはストーリー性があるからだけではなく、今のコロナ渦のフィリピンの様子や普段のフィリピン人の様子がよく分かると思ったからでもある。

 

 

いろいろツッコみ所満載なおじいちゃん。しかし親切な女性は俗に言う「よきサマリア人の例え話」を体現したよい話であることは間違いない。

 

 

 

 

 

このブログはにほんブログ村に登録中です!ぜひ1回ポチっとお願いします!

⇓ ⇓ ⇓ 

にほんブログ村 海外生活ブログ フィリピン情報へ
にほんブログ村