フィリピン国内のコロナウイルスの累計感染者数が100万人を突破したのが先月の4月末。5月10日時点では110万人を超えている。
感染者の増加に比例して財政的にも負担が増していることを懸念したドゥテルテ大統領は義務となっているマスクを着用していない国民を逮捕し、徹底して尋問と調査するよう5月6日に警察に命令を出した。
それから4日後の5月10日時点で警察は18,862人をマスク着用規定違反で検挙し、実際に904人もの人が逮捕されている。その他の約8,000人は罰金刑、残りは厳重注意という警告で済まされている。
私の住むパラワン島の町も先日Covid19保安官なる150人の訓練された人々が組織され、マスク未着用を含む感染拡大防止プロトコル違反者をパトロールし、初めて罰金付きで取り締まりを始めている。
実際に逮捕されたのはかなり悪質な場合だと思うが、国民への見せしめ、もしくは警告としては効果があるのかもしれない。
放っておくとマスクは顎までずらし、同じく着用義務となっているフェイスシールドもおでこの上でサンバイザー化しているので、大統領としてはせめてそれくらいは守って欲しいという切実な気持ちがあるのだろう。
ちなみに大統領はこれらのプロトコルの違反を放置した場合の責任は、その地域を管轄する最高責任者が取ることになると知事などにもプレッシャーをかけている。
長いコロナ禍で国内の経済は未だ超低空飛行で回復する兆しは見られず、頼みの綱のワクチン接種のスケジュールも遅れている。
行政に勤めている知人は今年の1月から給料が未払いが続いていて、家族を抱えて困っているし、外に出れば人気のあったホテルやレストランもどんどん閉店して、かつて観光客で賑わっていたこのパラワン島も少しづつ着実にゴーストタウン化が進んでいる。
首都圏でもボランティアが行っている食料配布場所には早朝から長い行列ができ、報道されたTVのインタビューの中には16時間待ったが食べ物を手に入れることが出来なかった高齢男性もいた。
単純に日本とフィリピンを比べることは難しいが、国からの支援という意味では日本はフィリピンよりも恵まれている。様々な業態の商売で休業補償が一切無いにも関わらず要請という緩いものではなく強制的に営業を禁止されてきた。
営業が出来ないと売上が出ない、そうすると経費をどんなに削減しても最終的に対象はそこで働く従業員に向かう。フィリピンは人件費が安いのでまだ踏ん張れる部分も多いが、その安い人件費で働いている人に貯蓄はないことが多いので、職を失えば明日から食べるものに困るという事態になる。
今後のことは誰にも分からないがこのままいくと所得の低い人からどんどん生活が破綻していき、その小さな波の連続がやがて大きな波となって国そのものをのみ込んでしまうかもしれない。
治安の悪化も心配である。生活することが出来ないとなると普通の人も魔がさしてしまうかもしれない。
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